福島県の出産に関する環境は、2012年に出生率1.41で底を打ち、それから上昇傾向にある。
だが、2016年時点で1.59と他県に比べて低い状況は続いている。
出産の判断要因は様々である。周囲にサポートしてくれる方がいるか、将来育てられるだけの所得はあるか、自分のキャリア形成と折り合いがつくか?等。
その一つとして、地域の出産環境も気になるところではないだろうか。
出産に最も近い医療従事者として考えられるのが、産婦人科医と助産師である。福島県内における人数推移を下記にまとめる。
【出典】
総務省統計局:社会・人口統計体系 都道府県データ 基礎データ 健康・医療
厚生労働省:医師・歯科医師・薬剤師調査
驚かれるのは助産師の数ではないだろうか。県内には500近い助産師がおり、廃業する方もいる中その数を増やしている。
現在、助産師の多くは医療機関に勤務されている。出産も取り扱う「地域の助産所」は減っているが、助産師自体が減っているわけではない。
さらに、産婦人科医と助産師の数が他県と比べどうなのか。「出産可能な女性の数に対する産婦人科医・助産師の数」を明らかにしてみたいと思う。
統計資料の関係上となるが、15~44歳の女性を出産可能な女性と定義し、それら10万人当たりに何人の産婦人科医・助産師がいるかを、各県別に表したものが下の表である。
【出典】
総務省統計局:人口推計(平成28年10月1日現在)
総務省統計局:社会・人口統計体系 都道府県データ 基礎データ 健康・医療
厚生労働省:医師・歯科医師・薬剤師調査(平成28年度)
福島県は産婦人科医に対する15~44歳の女性人口を算出すると、全国ワースト3であるが、助産師の数でみると決して突出してよいわけではないが、中程度の水準である。
医師と助産師、産前・産後が母子の負担なくつながり、支援が継続すれば出産の負担は大きく軽減できるであろう。
福島県では東日本大震災後、地域の助産師が母子のストレスマネジメントや産前・産後ケアを必要性を訴え、自主的に活動を開始している。助成金を財源として始めた事業はその有効性が行政に認められ、県や市町村が実施する母子支援事業の中に組み込まれるようになっている。
目指すはフィンランドの「ネウボラ」である。全国的に産婦人科医が不足する中で、切れ目なく家族を支援する担い手として、助産師への期待は確実に高まっている。